溺愛御曹司の恋愛指南♡ ~初恋女子はお坊っちゃまから愛されすぎる~

溺愛御曹司の恋愛指南♡ ~初恋女子はお坊っちゃまから愛されすぎる~

last updateLast Updated : 2026-05-22
By:  日暮ミミ♪Updated just now
Language: Japanese
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「わたしに、恋を教えて下さい!」 物心つく前に両親が離婚し、母一人子一人の母子家庭で育った25歳のOL・佐々本若菜。 母は働きながら若菜を大学にまで行かせてくれたが、その学費の出どころだけは母も教えてくれず謎のままだ。 若菜は財閥系の一部上場企業である大手商社の経理部で働いているが、社長の御曹司である連城寛斗はどうも若菜がお気に入りの様子で……? 恋を知らない地味OLとキラキラ御曹司のじれキュン恋物語。

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Chapter 1

プロローグ

 ――二十五歳の地味系OLであるわたし・佐々本ささもとわかは、まだ本当の恋というものを知らない。

 わたしの両親は、わたしがまだ物心つく前に離婚したらしい。そのため、わたしは父親がどんな人だったかまったく憶えていない。それ以来、母がわたしを父と会わせようともしなかったからだ。

 わたしと母は二人で、都内の公営住宅で生きてきた。母はわたしを私立の大学へも進ませてくれたけれど、奨学金は受けなかった。

『お金の心配ならしなくていいから。若ちゃんは行きたい大学へ進みなさい。バイトくらいはしてもいいけど、そのお給料は若ちゃん自身のために使っていいからね』

 学費のことは気になったけれど、母は笑いながらそう言ってくれた。いくらフルタイムで働いていたといっても、私立の大学の学費までそう簡単に稼げるような業種だとは思えなかった。母はごく普通の会社員で、月三十万円のお給料で親子二人の生活費と大学の費用までまかなえるはずがないのだ。だから、わたしの進学費用がどこから出ているのか、わたしにはまったく見当がつかない。

 もし父が出してくれたのだとしたら、父は資産家ということだろうか。もしそうなら、どうして母と離婚することになったのだろう? 当時、まだ二歳になるかならないかくらいの幼い娘――わたしがいたのにも関わらず。それもまた謎である。

 というわけで、母が多分ムリをして進ませてくれた大学時代、私は勉強とアルバイトに明け暮れた。けれど、当時からオシャレをするほどお金にも気持ちにも余裕がなく、地味な外見だったわたしには恋愛というものに縁がなかった。いや、中学生の頃から恋なんてしたこともなかったのだけれど。

「この人カッコいいな」と憧れていた同級生や先輩もいないことはなかったけれど、それは結局恋ではないと自分で悟ってしまった。わたしみたいな地味子なんかが相手にされるわけがないと早々にあきらめてしまっていたのだ。所詮しょせん、憧れは憧れでしかなく、それが恋に発展することはないのだと。

 そして「初恋」というものを知らないまま大人になり、わたしは一部上場企業の大手商社・〈れんじょうホールディング〉に入社し、経理部に配属された。

 元々数学の成績はよく、計算も得意だったので経理の仕事はこんな地味で他に真面目なだけしか取り柄のないわたしにとっては天職だと思える。だから、この先も仕事だけを生き甲斐がいにして社畜人生を送っていくものだと思っていた。あの人が、わたしの目の前に現れるまでは――。

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プロローグ
 ――二十五歳の地味系OLであるわたし・佐々本若菜は、まだ本当の恋というものを知らない。 わたしの両親は、わたしがまだ物心つく前に離婚したらしい。そのため、わたしは父親がどんな人だったかまったく憶えていない。それ以来、母がわたしを父と会わせようともしなかったからだ。 わたしと母は二人で、都内の公営住宅で生きてきた。母はわたしを私立の大学へも進ませてくれたけれど、奨学金は受けなかった。『お金の心配ならしなくていいから。若ちゃんは行きたい大学へ進みなさい。バイトくらいはしてもいいけど、そのお給料は若ちゃん自身のために使っていいからね』 学費のことは気になったけれど、母は笑いながらそう言ってくれた。いくらフルタイムで働いていたといっても、私立の大学の学費までそう簡単に稼げるような業種だとは思えなかった。母はごく普通の会社員で、月三十万円のお給料で親子二人の生活費と大学の費用まで賄えるはずがないのだ。だから、わたしの進学費用がどこから出ているのか、わたしにはまったく見当がつかない。 もし父が出してくれたのだとしたら、父は資産家ということだろうか。もしそうなら、どうして母と離婚することになったのだろう? 当時、まだ二歳になるかならないかくらいの幼い娘――わたしがいたのにも関わらず。それもまた謎である。 というわけで、母が多分ムリをして進ませてくれた大学時代、私は勉強とアルバイトに明け暮れた。けれど、当時からオシャレをするほどお金にも気持ちにも余裕がなく、地味な外見だったわたしには恋愛というものに縁がなかった。いや、中学生の頃から恋なんてしたこともなかったのだけれど。「この人カッコいいな」と憧れていた同級生や先輩もいないことはなかったけれど、それは結局恋ではないと自分で悟ってしまった。わたしみたいな地味子なんかが相手にされるわけがないと早々に諦めてしまっていたのだ。所詮、憧れは憧れでしかなく、それが恋に発展することはないのだと。 そして「初恋」というものを知らないまま大人になり、わたしは一部上場企業の大手商社・〈連城ホールディング〉に入社し、経理部に配属された。 元々数学の成績はよく、計算も得意だったので経理の仕事はこんな地味で他に真面目なだけしか取り柄のないわたしに
last updateLast Updated : 2026-04-28
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地味子にご執心のお坊っちゃま Page1
 ――その人の名前は連城寛斗さんという。現在、わたしより二歳上の二十七歳。この会社の社長の一人息子であり、次期社長といわれている人だ。 彼は総合職でこの会社に入社し、いちばんの出世コースと言われている経営戦略部の部長を務めている。それも決して縁故入社ではなく、実力で入社したというから根っからのエリートなのだろう。 身長は百五十八センチのわたしより二十センチ以上高く、学生時代にキックボクシングをやっていたらしくて体格は程よく筋肉質。人当たりのいい性格で、女子社員からもモテまくっている。 寛斗さんは生粋の御曹司にしてエリート。そして陽キャ。陰キャであるわたしとは対極にある人物である。なのに、彼はどういうわけかこんなわたしにご執心なのだ。そこまでわたしに固執する理由がさっぱり理解できないけれど、どうやら彼はわたしのことが本気で好きらしい。それだけは確かだ。「――寛斗さん、このタクシーの領収書、日付が入ってませんよ。これは経費として認められません」 寛斗さんは今日も領収書の束を持って、経理部にいるわたしを訪ねてきた。 もちろん仕事で来ていることはわたしにも分かっているけれど、何もわざわざわたしのところへ来る必要はないんじゃないだろうか。これは明らかに、仕事を口実にしてわたしに会いに来ているとしか思えない。「佐々本さん、つれないなぁ。こんな細かいことは気にするなって。他の人は見逃してくれるのに」 彼はお坊っちゃま育ちのせいか、ちょっといい加減なところがある。こんな人が会社の後継者で大丈夫なんだろうか?「他の人が見逃しても、わたしはダメだって言ってるんです。お金のことはキチンとしないと! たとえ少額でも、後から大問題になることがあるんですからね!」「分かった分かった! 次からはキチンとするから、今日だけは見逃してくれよ、なっ?」 経理部にいる周りの同僚や上司は、〝寛斗坊っちゃま〟にお説教をしているわたしを冷や冷やしながら見ている。きっと生意気だと思われているんだろうな。 でも、わたしの言うことは間違っていないはずだ。社長の御曹司だろうと平社員だろうと、お金に関することでルーズになってはいけない。それが会社の経費ならなおのこと。一円の重さは(※
last updateLast Updated : 2026-04-29
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地味子にご執心のお坊っちゃま Page2
「…………あの、連城部長? それはデートの申し込み……という解釈でよろしいでしょうか?」こういうシチュエーションにまったく免疫のないわたしは、動揺しすぎて呼び方まで変わってしまう。普段は「寛斗さん」呼びなのに。「なんでいきなり役職呼び? ……それはいいとして、もちろん本気だぜ? 俺、君のことが気に入ってんだよ。俺に遠慮なくズケズケ意見する女子社員なんて、君くらいのもんだからさ」「…………はぁ」「あれ? なんかリアクション薄くねえ?」わたしは入社してから何度もこういうお誘いを受けているのだけれど、こういう時どういうリアクションを取っていいのか分からない。他の女子社員なら「ぜひ!」なんて目を輝かせて喜ぶところなんだろうけれど、わたしの場合は「どうしてわたし、誘われてるの?」という戸惑いの気持ちの方が大きいのだ。「すみません。わたし、こういうお誘いには慣れてないんです。それに、今は仕事中ですし」「……若菜ちゃんは真面目だね。まあ、俺は君のそういうところがいいなと思ってるんだけど」「…………えっと」これは褒められているんだろうか? でも、今まで異性から面と向かって褒められた経験に乏しいわたしは(まったくゼロというわけでもないのだけれど)、またもや固まってしまった。こんなふうに、少し男性から(それも全女子社員にとって高嶺の花みたいに思われている人だ)デートのお誘いを受けたり、褒められたくらいでいちいちリアクションに困っているようなわたしには、恋なんて到底ムリだと自分でも分かっていたのだけれど……。* * * *「――ねえ、美緒。これって寛斗さんにからかわれてるだけだよね?」お昼休み、社員食堂で自分で作ったお弁当を食べながら、向かいの席でオムライスを食べている親友の藤崎美緒に訊ねてみた。彼女は高校時代からの親友で、友だちが少ないわたしにとっては貴重な何でも話せる大親友である。ちなみに部署は、寛斗さんが部長を務めている経営戦略部だ。「確かに、連城部長はチャラチャラしてるせいで軽く見られがちだし、けっこういい加減なところもあるけど。それは本気だとあたしは思うな」美緒は自分の上司にも関わらず辛辣なコメントをしつつ、それでも最後は彼が本気らしいと言った。「えっ? どうして分かるの?」
last updateLast Updated : 2026-04-30
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地味子にご執心のお坊っちゃま Page3
「いやいや、そんなぁ!」 わたしは美緒にもからかわれていると思い、笑いながら全否定する。わたしが〝磨けば光る原石〟? そんなことあるわけがない。だったら、どうして今まで男の人から相手にされてこなかったのだろう?「あんたは自分自身のこと、自分でちゃんと分かってないんだよ。確かに服装は地味だし、メイクもナチュラルすぎるくらいのナチュラルメイクだけど。お肌はキレイだし、スタイルだって悪くないもん。それに、部長が好きなのはあんたの見た目だけじゃなくて性格もなんじゃないの?」「うん……。そういえば、わたしの真面目なところがいいって言われた。あと、社長のご子息なのに遠慮なくズケズケ意見するような女子社員はわたししかいなくて、そういうところも気に入ってる、って」「確かにねー。あんたは高校時代から、誰にでもズケズケ言いたいこと言っちゃうところあったよね。高校の先生から理不尽なこと言われてる女の子を庇ったりとか」「あー、そういえばそんなこともあったね。でも、あの時はわたし、間違ってなかったでしょ? 寛斗さんのことだってそうだよ。お坊っちゃまだからってそういうところをなあなあにしてたら、後でとんでもない問題起こしそうだから」「それはそうだけどさ。……う~ん、確かにあの人に意見できる女子って、年上じゃなければあんたくらいかもねぇ。でもさぁ、だからってそれ、あんたが言う必要ある?」 言われてみれば、わたしは経理部の役職というわけでもないただの平社員である。それも、まだ入社三年目の。そんなわたしが経理部を代表して、社長のご子息に意見しているのもどうなんだという感じではある。「……ない、とは思う……けど。ウチの経理部、部長も含めて寛斗さんにガツンと物申せる人がほとんどいないんだもん。だからどうしてもわたしにお鉢が回ってきちゃうの」「なるほどねえ。あたし、経理部の実情とか知らないから勝手なこと言っちゃったね。ごめん、若菜」「ううん。美緒は悪気があって言ったわけじゃないでしょ? だったら大丈夫だよ」 彼女はきっと、わたしのためを思って言ってくれたのだと思うので、わたしも彼女に腹を立てることはなかった。「それはともかく、連城部長は若菜のそういうところを好きになったんじゃないかな。きっと、ああやってガツンと叱ってくれる人が今までい
last updateLast Updated : 2026-05-01
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地味子にご執心のお坊っちゃま Page4
 ――今日も無事定時に仕事が終わり、退勤の打刻をして帰ろうとしていたわたしは、会社のビルのエントランスで美緒に声をかけられた。 「あ、若菜。お疲れー」 「美緒、お疲れ。今日も無事に一日終わった……こともないか」  確かに仕事自体は無事に終わった。けれど、それ以外のところでは無事じゃなかったともいえる。 寛斗さんからデートを申し込まれたことは初めてではなかったけれど、それ以来彼のことが気になり始めているのはわたしにとって生まれて初めての一大事かもしれない。 「それって、ウチの部署の連城部長のこと? そんなのいつものことじゃん」 「うん……。でも、今日は何かいつもと違うの。なんかちょっと、あれからずっと寛斗さんのことが頭から離れなくて。……幸い、仕事にまで差し支えるほどじゃなかったんだけど」 「あらー? それってもしかして、部長のこと気になっちゃってる感じ? 異性として」 「…………ええっ!? ちちちち……違うよ! もう、美菜ってば何言ってんの!?」  わたしは思いっきり動揺しまくって、否定こそしようとするものの、これじゃ「図星だ」と認めているようなものだ。 「……若菜、それじゃ否定になってないって。――とりあえず帰ろ」 「あ……うん、そうだね」  いつまでもエントランスでじゃれ合っていたら、他の社員さんたちの迷惑になる。わたしたちはとりあえず会社のビルを出ることにした。 
last updateLast Updated : 2026-05-01
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地味子にご執心のお坊っちゃま Page5
 他人の無責任な悪口ほどタチの悪いものはない。その人たちはきっと、実際のわたしがどれだけ頑張って毎日働いているのか知らないから、そんな好き勝手なことが言えるんだと思う。 「そもそも、今まで全っっ然恋愛に縁のなかったわたしがどうやったら男誑し込めるわけ? その人たちバカじゃないの?」 「……若菜、あんたもたいがい辛辣だよね」  わたしも無性に腹が立って珍しく毒舌を吐くと、美緒に苦笑いされた。 普段の性格はどちらかといえば穏やかというかおとなしい方で、目立つことがキライなわたしだけれど、時々腹に据えかねることがあるとこうやって思いっきり心のデトックスをして溜まったストレスを発散している。あとはお休みの日に美緒と遊びに行ったり、会社帰りにカラオケで歌いまくったり。お酒が弱いので、飲みに行くことはないけれど。 「でも、あたしも同感。あいつらバカだよ。若菜はお母さん想いのすごくいい子なのにさ、無責任にあんなこと言うなんて」 「ねー? そいつら、マジで罰当たれって思う」  美緒と二人だと、何でも思っていることを言えるから気が楽だ。これも十分陰口になるんじゃないかとも思うけれど、わたしは先に言われた被害者なので言う権利はあると思う。 「――それはともかくさ、若菜はマジでもうちょっと垢抜けたらすごい美人になると思うよ。あたしで何か相
last updateLast Updated : 2026-05-02
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地味子にご執心のお坊っちゃま Page6
「――佐々本さん、藤崎さん、お疲れ」 そこへ、ウワサの寛斗さんが緩んだネクタイを締め直しながら通りかかり、わたしと美緒に声をかけて下さった。もしかして、帰りじゃなくてこれからどこかへ行くところなんだろうか?「連城部長、お疲れさまです。これから外出ですか? お帰りのようには見えませんけど」「うん。これから父と一緒に接待でね。俺はあくまで付き添いだけど、次期社長としては行かないわけにいかなくて。二人は今帰るところかな?」「あ……、はい……。お疲れさまです……」 同じ部署の上司と部下だけあって、普通に彼と会話している美緒とは違い、わたしはどう話していいか分からずにしどろもどろだ。「佐々本さん、そんな緊張しないでくれよ。俺はもっと君と打ち解けて話がしたいのに」「……すみません」「いやいや、謝らなくても。――あ、そうだ。午前中に言ったこと、考えてくれたかな? 『お礼にメシ奢らせて』って」「…………えっと、はい。……あの、お食事だけでしたら……ぜひ、ご一緒したいです」「えっ、ホントに!?」 わたしの返事を聞いた寛斗さんは、嬉しそうに目を輝かせている。もしかしたら、ヘンに期待させてしまったかもしれないけれど、食事だけならいいかなというのはわたしの本心からの答えだ。その後どうなるかはまだ分からないけれど。「はい、今日これからでなければ大丈夫です」「それは俺もムリだから。そうだな……、三日後の帰りとかどうかな? 来週の月曜日」 今日は金曜日。明日と明後日は会社がお休みなので、その間に着ていく服を選んだり(場合によっては新しく買うかもしれない)、デート用メイクのしかたを美緒から教わったりできるわけだ。――寛斗さん、デート前の女性の心理をよく分かっていらっしゃる。「多分、大丈夫だと思います。もしムリそうなら連絡したいんですけど、わたし寛斗さんの連絡先を存じ上げないので……。どうしましょうか? 美緒経由で連絡しましょうか?」「いや、ここで連絡先交換しておこうか。藤崎さんを巻き込むのは上司としても申し訳ないし。どっちにしても連絡してほしいな。もし行けるようなら待ち合わせしたいから」「……そうですね。お願いします」 わたしは緊張に震える手で手帳型カバー付きの自分のスマートフォンを取り出し、彼と連絡先を交換した。男性と連絡先を交換するなん
last updateLast Updated : 2026-05-04
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わたしに恋を教えて下さい! Page1
「――お母さん、ただいま」 足立区にある団地に帰ると、わたしは三階にある家の玄関ドアを開けて母に呼びかけた。母は団地から自転車で通える範囲にある小さな会社で、フルタイムで事務と経理の仕事をしている。わたしも計算が得意なのは、間違いなく母からの遺伝だろう。 職場が近いので、間違いなくわたしより先に帰っているはずだ。途中でスーパーなどに寄って買い物をしていなければ。 ちなみに、ウチの団地はエレベーター付きなので昇り降りが楽だ。築五十年近くになるけれど、十年くらい前に老朽化と耐震化のためにフルリノベーションしたのでそれほど古さを感じない。「おかえり、若ちゃん。お母さんもちょっと前に帰ってきたところなのよ。部屋で着替えてらっしゃい。それからゴハンにしましょ。今日はハンバーグよ」「やったぁ♪ じゃあ、着替えたらわたしも手伝うよ」 我が家の間取りは2DKで、母とわたしそれぞれの部屋がある。すでに私服に着替えてダイニングで何やらパソコン作業をしていた母に頷き、わたしは自分の部屋へ入っていった。 それほど裕福な生活をしてきたわけではないため、わたしには物欲があまりなく、この自室にも洋服や物が少ない。そんな部屋のクローゼットを開け、それほど多くない洋服たちの中から長袖のカットソーとデニムのスカートを出して、着ていた通勤用の服からそれに着替えた。 ちなみに、わたしもお料理はできる方だ。あまり手の込んだものは作れる自信がないけれど、朝ゴハンやお弁当くらいは簡単にパパッと作れてしまう。 そして、中学生の頃からずっと晩ゴハンは毎日作るのを手伝っていた。母が一人で働いて、わたしを育ててくれていることに感謝していたから。母の恩に報いるために、わたしができることはそれくらいしかなかったのだ。 高校はアルバイトが許可制だったのでできないこともなかったけれど、母が許してくれなかったし。「お母さんは若ちゃんにムリをして、家計を支えてもらおうなんて思ってないから。高校時代は若ちゃんの好きなように過ごしなさいね」と、バイトをするのは大学に上がってからでいいからと遠回しに言われていた。   * * * *「――お母さん、わたしね、今日男の人から初めてお食事に誘われたの。同じ会社の人なんだけど」 ダイニングテーブルで母と向かい合って夕
last updateLast Updated : 2026-05-05
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わたしに恋を教えて下さい! Page2
「でも、その人は若ちゃんがいいっておっしゃってるんでしょ? それにはちゃんと理由があるんだとお母さんは思うなぁ」 「理由……ねえ。美緒が言うには、わたしの真面目なところとか、御曹司である自分に言いたいことズバズバいってくれるところが気に入ってるんじゃないかって。……でも、彼がわたしにこだわる理由は他にも何かあるんじゃないかなって思うんだけど」  それだけの理由で、あの人がわたしみたいな地味子に固執するとは思えない。わたしの知らない、何かもっと大きな理由があるんじゃないだろうか。……そう言うと、母の表情が少し曇ったような気がした。 「……お母さん、どうかしたの?」 「えっ? ううん、何でもないわよ」  母は慌ててごまかしたけれど、わたしには何となくピンときた。母はその理由に心当たりがあるのだと。それがどうしてなのかは分からないけれど、もしかしたら父のことと何か関係があるんだろうか……? 「…………それで、若ちゃんはその人のこと、どう思ってるの? お母さん、若ちゃんから男の人の話って初めて聞いたけど」 「うん……、えっと、まだよく分かんなくて……。でもいい人だとは思うよ。ただ……、なんか今日一日ね、その人のことがずっと頭から離れないの。どうしてだろ?」  話しているうちに、自分の顔がかあっと熱くなっていくのが分かる。きっと母には顔が真っ赤に染まっているように見えるだろう。 「……若ちゃん、それって恋なんじゃない? その寛斗さ
last updateLast Updated : 2026-05-06
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わたしに恋を教えて下さい! Page3
 ――翌日。わたしは美緒と二人で電車に揺られ、池袋までショッピングに来た。明後日の寛斗さんとのデートのために、新しい洋服とコスメを買うためだ。そして午後からは、ウチで彼女からメイクレッスンをしてもらうことになっている。 予算は三万円。毎月お給料から五万円ずつ貯めているお金を少し引き出してきた。これだけあれば、いつもよりちょっと値が張る服もコスメも買えると思う。  美緒は社会人になってから上野にあるマンションで一人暮らしをしているけれど、実家はわたしと同じ足立区内にあるらしい。 「ねえ若菜、この際だからインナーだけじゃなくてスーツも新しいの買っちゃえば? ファストブランドのお店だったら安くてちょっとオシャレなのも売ってるよ」 「そうだよね……。せっかくのデートなのに、普段のスーツっていうのもね。じゃあ……そうしようかな」  わたしは美緒の提案に乗り、まずはお手頃価格で洋服が買えるファストブランドのお店に入った。ここでならスーツの中に着るブラウスやカットソーだけじゃなく、靴やバッグまで何でも予算内で揃ってしまいそうだ。  美緒に見立ててもらい、淡いブラウンのスーツと胸元に上品なレースがあしらわれたブラウ
last updateLast Updated : 2026-05-07
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